フランス アヴィニヨン公演 <2002年7月>
『 L'INVITATION A NOHGAKU 』
__「御前に」「いとあはれになつかしうをかし」__



「不吉なまでに美しい」と語られた光源氏。
その人をめぐって女が、宮廷がゆれる。
きらびやかに見える王朝世界を無常が支配する。
千年の時を経て、変わらぬ人間の生を見る。
2000年 源氏物語が誕生してから約千年の歳月が流れた。
能の『葵の上』は『源氏物語-葵の巻』を観客が知っていることを前提に舞台化した作品で、主人公の情念が現代にも共通した普遍的な思いであることを訴えている。
その『葵の上』を題材に言葉による表現を用いずに、舞踊で視覚に訴えた表現を試み、能楽の自由な空間と時間の処理、主題などをそのまま生かすべく、構成を能の表現、テンポの流れを支配する『序破急』(世阿弥・風婆花伝)に求めた。
能楽の番組構成になぞらえ、狂言からも一曲、『棒縛』を題材に軽妙洒脱な狂言の世界にダンスで挑戦。



構成・振付:坂東扇菊
振付:近藤良平
出演:鎌倉道彦 藤田善宏 山本光二郎 遠田誠 丸山武彦 今津雅晴 近藤良平 楠田健造 坂東扇菊
演奏・出演:平岩佐和子
音楽:宮本光雄/照明:福田玲子/衣装:岡千勢子
舞台監督:高橋哲彦
面制作:有賀二郎

at Theatre de la Danse Golovine
文化庁支援事業


アヴィニヨン演劇祭での批評

L'INVITATION A NOHGAKU (前半省略) この作品の息を呑むような美しさ、その美学は、能楽の最も洗練された伝統からきている・・・影と光、非現実性を暗示する霞のように透き通った着物、悪魔の仮面、病の床に揺らめくロウソク、仏教の僧侶たちによるコロスは太古から伝わる日本の文化とかつて見たこともない現代性を備えた振付を調和させたこの作品にふさわしい背景を構成していた。
坂東扇菊、近藤良平は、この非現実世界の果てで完璧なデュオを成立させた。 言語を絶するような感動に裏打ちされた世界である。

L'Olivie WEB Claire Vanhaelen



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